redbird日和

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25 2012

猫鳴り

久しぶりに小説を読みました。

「猫鳴り」


1匹の猫を通して数人の人物が関わる、3部作の設定です。
解説にもありましたが、決して面白い展開があるわけでも無く
暗く黒い気持ちを読み手に負わせるようなストーリー。
私は途中で読むのを止めようかと思ったほどです。

1匹の猫は物語の中で20年生き、年齢相応の病気に罹り
やがては命をまっとうします。
その命をまっとうするまでの飼い主と猫との描写が
数年前白血病で亡くなった猫「しゃここ」と重なり
電車の中で何度も嗚咽しかけました。

作者自身も同じ経験をしているのだと思います。
でなければ、飼い猫の死を目前にした飼い主の葛藤を
あんなに鮮明に書ける筈は無いと思うからです。

この小説には幾つかの「死」が出てきます。
この世に生を受ける前に絶たれてしまった命。
この世に生を受けながらも、幾つ月も過ごす事無く逝ってしまう命。
そして、病気を患いながらも天寿を全うしようとする命。
それらの死を受け入れようとする人間側の心情や感情が
現代社会に生きる我々に深く爪痕を残すような、そんな作品でした。

機会があれば一読して下さい。

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